子育て

妻がいないある朝

この若い娘は理不尽なことばかり要求してくる。

 

『ねむいの!』

 

『ねえまだくらい!』

 

『くらいといやー!おそとをあかるくしてー!』

 

『どっか、いってー!』

 

昨晩は私に抱きついて寝ていたくせに。

 
なんとか彼女をなだめすかしベッドから起こすことに成功した。

 

さぁ、次はトイレだ。

 

若い娘の放尿シーンなんてなかなか生でお目にかかるもんではない。

 

しかも行為の後にお尻を拭くことができるという特典付きだ!

『うんちもでるー。』

えー 脱糞シーンまで付いてくるサービス!

 

 

 

さあ、次は朝食だ。

 

朝食の準備をしている間も、彼女のご機嫌を取り続けることを忘れてはならない。

 

少しでも機嫌を損ねると、彼女はこの世の終わりかのように泣き叫ぶ。

 

片手で彼女を抱き寄せ、もう一方の手でフライパンを振る。

 

うー肩が限界だ!

 

仕方なく彼女を下ろそうとすると、『いやっ』と彼女は抵抗した。

 

このまま無理やり下ろすと大変なことになるのが想像できる。

 

そうなるとこの後の私の予定が大幅に狂ってくる。

 

そんなときはipadでyoutubeだ。

 

Perfumeのお気に入りのMVを見て微笑む彼女にホッとする。

 

私も大好きだ、Perfume!

 

 

ふぅー。なんとか食卓に着かせることが出来た。

 

今日の朝食はトーストと卵焼き。

 

飲み物を用意しようとしたところ・・

 

『りんごじゅーす!』

 

ま、まずい!今日、りんごジュースは切らせている。

 

昨夜の風呂上がりの一杯が最後だった・・・。

 

『りんごじゅーすがいい!りんごじゅーすがいい!りんごじゅーすがいい!り・ん・ごー!』

 

彼女はけっして譲ろうとしない。

 

怒りがこみ上げてくるが、グッと我慢する。

 

怒ったら負けだ!

 

明日は必ず用意するから。

おまけに・・・プリンもつけて。

だから今日のところは・・

 

『えっ、ぷりん!?  ぷりんだーいすき!』

 

ふっふ。この懐柔案に乗ってきた。どうせ明日の朝まで覚えていまい。

 

浅はかな女だ。

 

そして無事に朝食も終わり、

 

さぁ、着替えだ。

 

今日はこのシャツにこのパンツで・・。

 

わたしが考えに考え抜いたコーディネイトだ。

 

『いやっ、うえはぴんくのねこちゃんがついてるやつがいいっ!』

 

でも今日は下のタイツがピンクだし・・・。

 

『うえもぴんくがいいのっ!!』

 

彼女の声がひときわ大きくなる。

 

で、でも上もピンクだとまんまパー子さんに・・・

 

『ぴ!・ん!・く!!』

 

しょうがない。ここは彼女の言う通りにしよう。

 

周りに笑われようが俺の知ったことではない。

 

まんま「パー子さん」なった彼女の顔を洗い、歯を磨き、髪をとかす。

 

その後は私が大急ぎで身支度を整える。

 

トイレに入ろうとしたら、彼女が待ったをかけてきた。

 

『わたしもいっしょにはいりたい!』

 

えー大きい方もしたいのに!臭いがするよー。

 

『いいの!』

 

彼女は言うことを聞きそうもない。

 

仕方なく彼女をトイレに連れ込んだ。

 

私はズボンを下ろし、便器に腰をかける。

 

彼女はじっとこちらをみている、鼻をつまみながら。

 

く、屈辱だ!

 

若い娘から自分の脱糞シーンを鑑賞されるとは!

 

まっ、しょうがない。早く済ませよう!

 

 

さぁ、いよいよお出かけだ。

 

玄関に鍵をかけ、駐車場まで彼女を抱いて急ぐ。

 

そして車の後部座席の特別シートに彼女を座らせた。

 

私は運転席に乗り込むと大急ぎで車を発進させた。

 

10分ほどで目的地に着いた。

 

彼女を車からやさしく抱き下ろし、教室へむかう。

 

『ねぇたっちして!』

 

別れる瞬間、彼女が手を差し出した。

 

手と手をあわせる。

 

胸に熱いものがこみ上げてくる!

 

コレまでの苦労が報われる瞬間だ。

 

おっと、感傷に浸っている場合ではない!

 

私は車に乗り込むと猛スピードで職場へ向かうのだった。

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